「ねえ、男子更衣室ってうるさいの?」
「へっ!?」
唐突な質問がよく分からないっ!
やっぱいつもの飛鳥ちゃんだ!…って、それは失礼か。
佐倉くんだったら言いそうだなって、思っただけです。
「まあ…普通にうるさいと思うよ。
でも、それ以上に狭いって感想が生まれるかな」
「あー狭いかぁ。DKは体大きいからねー」
理解が速い。さすが!
「で、質問の意図は?」
「ああ…。女子更衣室めっちゃうるさくて、神経磨り減ったなーって思って、男子はどうなんだろなーって、ふとね」
「さっき疲れてたっぽいもんね」
そう言うと、飛鳥ちゃんは一瞬顔を曇らせて目を逸らした。ほんの一瞬…他の人じゃ気付かないようなくらい微かに。
誰もいないはずの部屋から物音が聞こえた時みたいな、どこか不安そうな表情で。
「体育の時の飛鳥ちゃん、急にテンション低くなったっていうか「ねえそういえば、全然教室に人来ないね。
あと5分で始まるのにこの少なさはおかしくない?休講かなー」
「えっ…?」
不自然なくらい話を逸らされた。
割とよく喋る子だけど、相手の話は最後までしっかり聞くタイプだ。
こんなことは珍しい。
あんまり触れられたくないのかもしれない。
勘繰り過ぎたかな。
ここは、飛鳥ちゃんに合わせておこう。
「んー、確かにね。授業サボる子とかもいるけど、俺ら合わせて4人てね」
「休んでるとこ見たことない子とかもいないし、やっぱ休講かなー」
「ねっ」
「でも去年ね、普段いるのが15人くらいの授業で8人しかいないってことあったな。だから、ワンチャンこの人数もありえる」
「どんだけ緩いんだ、この学校…」
そんな会話をしてるうちに授業開始時刻となる。だけど先生すら来ない。



