「ってなわけで、席隣いいよね?」
「どうして、“ってなわけで”ってなるのか分からないけど。てかもう座っちゃってるし」
「いいでしょー?先輩っ?」
ず…ずるい。完全に小ボケを仕込んできただけのはずなのに…可愛いよ、それは。
「あれ、飛鳥ちゃんが軽く赤くなって照れてる」
「…照れてない」
「先輩扱いされるの久しぶりだから?」
「…久しぶり?」
「中2中3は先輩だったでしょ」
ああ、そういうこと…。
「…貴哉くんだから、かな」
「んんっ?」
やたら驚いたような反応をされたけど。
「貴哉くん、いかにも可愛い後輩みたいな感じするから」
「んー…可愛い後輩かぁ」
どういう反応なの?それ。
「やっぱ、年齢の差は埋められない?」
「は…?」
急に真面目な顔されてもな。
「誕生日いつ?」
「えっ、俺?!あーっと…5月だよ」
「じゃあ、私11月生まれだから、半年くらいしか変わらない」
そう言うと、彼は困ったように笑った。
「そういうことじゃないんだよなぁ…」
私にはまだ、彼のその呟きが理解できなかった。
授業が終わって、次の授業に向かおうとしていた。
「あっ…飛鳥ちゃんっ…」
「ん?どうかした?」
彼は緊張した面持ちで、スっと息を吸った。
「LINE、交換しない…?俺さ、休み時間とか放課後とかの、プライベートな時間にも会える存在になりたい」
「もっと仲良くなりたいですってこと?」
彼は重めに頷いた。
「急にどうしたのー?まあ、私も貴哉くんと仲良くなれるだろうなーって思ってたけどさ 」
私は携帯を出して、QRコードを出す。
読み取って、貴哉くんは嬉しそうにニコニコする。
「そこまで嬉しそうにされると、照れちゃうじゃんね?」
「ホントに嬉しいもん」
少しだけ、キュンとさせられた。
これだから美形くんは心臓に悪いんだ。