君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。



「さ、そろそろ出よっか。ね、飛鳥ちゃん?」

「へっ?!あっ、うん…!」


だいぶ人いなくなったもんね。

あー、ボーッとしすぎたわ。


「授業までどうしよっか?」

「ね。微妙な時間…」


エレベーター待ちで4人。


「今日って普通教室だっけ、被服室だっけ」

「あー、どうだったっけー」


貴哉くんは、携帯のスケジュールにメモしていたらしく、確認する。


「普通教室だと思う。
…あぁ、確かこの時間ってあの教室空いてるよね。そこで待とっか」

「だねっ」


彼はニコリとして同意する。


「凜と知愛、またねー」

「ん、バイバイ」


先に降りる2人に手を振って。

はあ、そうかぁ…
これから毎週、貴哉くんもいるのかぁ。
また少しモヤモヤするのかな。

だけど、気楽かも。


「そういえば、飛鳥ちゃんもうすぐ誕生日だよね?」

「ああ…うん。まあ、もうすぐって言っても、まだ1ヶ月先なんだけど」

「何か、したいなーって思って。どう…かな」

「何か?」

「そう、どっか出かけておもてなしとか!」

「…平日なんだけどねー、当日」


確か今年は火曜だった気がする。


「そっかー、当日は1日取れないのかー。どうしよう…まあ、考えとくね!」

「…私、貴哉くんの誕生日スルーしてたのに?」

「まだ知り合ったばっかだったし、しょうがないよ…うん」


そう思ってるのなら、
大好物のジャーキー取られたわんちゃんみたいな顔でシュンとしないでほしい。