君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。



「そういや…どうして貴哉くんいたの?」

「職員室に用があって」

「あー、なるほど」

「ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ、飛鳥ちゃんいるかなーとも思ったけど。
俺の勘凄くない?」

「ははっ…私いても別に何の得も無いじゃんか」

「何でよー、嬉しいよ?飛鳥ちゃんに会えたら」


いつも通りの貴哉くんなんだけど…いつも以上に癒されるの何これ。

教室に着いて、貴哉くんの前の席に座ってお喋り。


「そういや飛鳥ちゃん、後期になったから体育の種目選択し直せるんでしょ?」


あー、そんな時期かぁ。

そうかぁ、貴哉くんにとっては初めてのことか。


「うん、そうだよ」

「飛鳥ちゃんは…どうする?」

「どうするって?」

「種目、ダンスのままかなーって」


2人は変えないって言ってたし…多分私も変わらないだろうけど。

種目の中で唯一できそうなのがダンスだから、それ以外を選択するわけにはいかないし。

あの2人がいるのは、まあ…何とか頑張ります。


「うん、そのつもり」

「そうなんだ…」


どうしたんだろう?
少し伏目がちになったことに気付く。


「貴「俺もダンス一緒にやっていい?」

「へ?」


急に目が合う。
まっすぐで、まともに見つめてると心臓に悪い気がするんですが?

…何だろ、今日の私変だな。

貴哉くんの目を見つめてるの、ちょっと緊張する。


「うーん…今のメンバーがそのまま残れば、女子15人に男子2人っていう男女比率だよ?あと、私がダンス下手なのバレる」

「へえ、男子少ないんだ。なら、ライバル減るね」

「え?ああまあ…貴哉くん運動神経良さそうだし、男子一の上手さで有名になるかもだけど」

「んー…?ああ、うん、まあそういうことでもいいけど」


なんかよく分かんない反応された!


「飛鳥ちゃんさー、踊れないとか言ってるけど、何だかんだ踊れちゃうフラグでしょ!」

「…そう来るならー、めっちゃ踊れるよ!って言っておいて、実際は全然踊れないフラグ立たせる」


何張り合ってんだ、うちらは。


「あの…席、いいですか?」

「ん?あっ、ごめんねー!…じゃあ!」

「うんっ」


貴哉くんの前の席の人が来ちゃったわ。

いや、来ちゃったって何だよって話だけど。授業だからね?そりゃ来るよね。