「男子勢が来る前から、彼女は1人で彼らを保護してました。
経緯は自分の目で見てないので詳しいことは分からないですけど、そんな決め付けで物言って、彼女を責めるのはおかしくないですか」
「君は最初からいないんでしょ?
だったら彼女がどうしてたかなんて分からないじゃない」
「彼女がそんなつまんないことするわけないです」
俺はハッキリ言った。
すると、お母さんは少し顔を顰めた。
「まだ責めるなら彼女じゃなくて、一緒にいたのに何もできなかった俺のこと責めて下さい。これ以上、彼女だけを謂れのない責め方するなんて、絶対許さない。…です」
軽くキツめの目で見つめ返すと、怯んだように顔を少し歪ませた。
「ああっ…もういい!」
お母さんはバツが悪くなったのか、振り返って立ち去っていく。
だけどマトくんは俺らの方を見て、
「すみませんでした。
…ありがとうございました」
と会釈してきた。
それからパッと顔を上げてお母さんの元に向かった。
反面教師ってやつなのかな…。
「貴哉くん…ありがとう、庇ってくれて」
「だって、飛鳥ちゃんが攫ってくるわけないし!見てらんなかっただけだよ」
飛鳥ちゃんは、信じてくれたんだ、とばかりに微笑んだ。
「危なかったな…お前」
佐倉くんが軽く息をついた。
「ねー?飛鳥ちゃん訴えられかけた…」
「じゃなくて。…今にも噛み付きそうだったから。思わず手で制したわ」
「へ?」
何があったんだ?
俺が飛鳥ちゃんに背を向けてる間に!



