「あなたねぇ!うちの子供に何してくれてるのよ!」
酷い言い様だな…。
しかもどうやら、飛鳥ちゃん1人だけに矛先を向けている。
他にも男子高校生3人だっているのに。
「違います。彼らが迷子になってこの辺ウロウロしてて、危なっかしいから一緒にいただけです」
飛鳥ちゃんは冷静にそう返す。
「そうだよ。お姉さん、落ち着き無いリツのこと心配して、一緒に待ってくれるって言ったんだ」
お兄ちゃん…マトくんもそうやって反論してくれる。だけど。
「そんなこと言って!そんなわけないじゃない!」
実の息子相手にもそんなこと言っちゃうのか…。
「あなたよね?うちの息子達攫って行った主犯は!
こんっなに男子3人も引き連れて休みの日に遊びに出かけてチャラチャラしてる女子なんて、たかが知れてるわ!
それに、うちの子が勝手にウロウロして、迷子になるわけないじゃない!」
「は…?」
飛鳥ちゃんは軽く呆れたような反応を見せた。
そりゃそうだ、言い分が偏見もいい所だ。
「いいわ、訴えてやる!」
訴えたいのは飛鳥ちゃんだよ…こんな酷い言われ様。
それでも飛鳥ちゃんは、凛として全く表情を変えない。私は悪くない、そう堂々としている。
だけど何となく、一触即発の空気で。
はあ…許せない。
飛鳥ちゃんのこと、そんな謂れのない責め方するなんて。
「あの」
「何」
兄弟のお母さんは、俺を鋭めの目線で見据えた。
構わない。
飛鳥ちゃんがその目で睨まれるよりマシだ。



