君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。



「あ、佐倉と金澤くん!」


顔を上げると、一緒に来たらしい2人がいた。


「…何してんの?」


佐倉くんのあからさまな戸惑った反応。


「2人の隠し子ー?」


金澤くんが、とんでもない発言を爆誕する。


「そんなわけないでしょ!!
飛鳥ちゃんの年齢的に考えようっ!
それに、飛鳥ちゃんと知り合ったの今年の4月だし!」

「否定するとこそこ…?」


飛鳥ちゃんに冷静につっこまれる。確かにそうだ。

あと、金澤くん相手に、ガッツリタメ語で言ってしまったな。先輩でもタメ語で良いのは飛鳥ちゃんと、翔さんだけだっ。

とりあえず深く息を吸って、あったことを話す。


「へえ…。まあ、待つのは構わない」

「なんか心配だもんねー」


金澤くんは慣れた感じで弟くんの相手をしだした。

そんな彼とは対照的に、佐倉くんは飛鳥ちゃんの横に腰を下ろして、じっとしている。

…うん、年下に慣れてなさそう!

そろそろ10時40分くらいかな。そう思っていると。


「マト!リツ!ここにいたの?!」


少し離れた所から駆け寄ってくる女性。彼らのお母さんだろう。兄弟が言っていた特徴に当てはまるけど…水色のズボンってデニムじゃなくて、軽い生地のワイドパンツだったかー。

飛鳥ちゃん以外が立ち上がり、弟くんに至っては


「ママぁー!」


と、走っていった。お母さんは、弟くんを抱っこしてこちらに来る。

飛鳥ちゃんも立ち上がる。