「彼氏ー?」
俺の足元に座り込んでいた弟であろう子が、こちらを見上げながらそう言ってきた。
俺はしゃがみこんで目線をなるべく合わせる。
「ううん、違うよ。このお姉ちゃんの友達」
「へえー!」
まだ、彼氏じゃないよ。
ま、そんなこと言えないんだけどね?
それにしても…こんな所いても見つかるのだろうか。一応親御さんの特徴を聞いておこうか。
「ねえ2人共、お母さんどんな人?」
「どんな?」
飛鳥ちゃんの横に座るお兄ちゃんが首を傾げて聞き返してきた。
「どんな洋服着てたとか、どんな髪型だったとか」
「今日のお母さんは、Tシャツに…水色のズボンでした」
水色のズボンとな…?
デニムとかってことか…?
「ママねぇー、38歳!!」
「こらリツ、余計なこと言わない!」
無邪気って怖いね…と、飛鳥ちゃんと目で言い合う。
「ねえ、じゃあ髪型は?」
飛鳥ちゃんが改めて聞いてみる。
「肩より短いです」
「ボブスタイルってとこか…。黒い髪?」
「少し茶色っぽいです」
なるほど。
…まあ、聞いた所でなんだよね。
土日の人が行き交う中で、ましてや運良く通りかかるとは限らないし。
もしこの子達がもっと大きい子だったら、目立つ所にいるかもしれないなって思って、こっちに来そうだけど。
さすがにこんな小さい子達が、目立つ所にいよう!とまでは思い付かない気がする。



