ー貴哉sideーー
よーしっ、待ち合わせ場所に余裕を持って着いた!
手元の携帯で時刻を確認すると、10時20分だった。俺が1番乗りかもしれないなー。
ショッピングモールの中に入ると、時計が目立つ。あそこにいれば分かりやすいかな。
…あれ?飛鳥ちゃんいるな。
えー、俺が1番じゃないの?
だけど…子連れ?じゃあ違うのか。
…いやいやいやー!俺が見間違えるわけがない。ましてや好きな女の子だよ?近付いてみた。
楽しそうに大きい方の男の子と話している。やっぱどう見ても飛鳥ちゃんだ。
「飛鳥ちゃん…?」
「あ、貴哉くん」
飛鳥ちゃんだぁー!
「どうしたの…この子達」
「私の子供」
…え?えっとえっとえっと…?
「そんな本気で困った顔しないでよ。ただの迷子の保護だよ」
「ああ、なんだ…」
「普通に考えて、そうでしょ!」
普通に、か…。
んんっ?
「迷子保護っ?!」
「なんか…ほっとけなくて?」
兄弟2人は、安心しきっているけど…。
「迷子センターには連れて行かないの?」
「勝手に連れ回せないでしょ。だから、一緒にここで待っててあげるってことで交渉成立したの」
ああ…。
誘拐!!とかになったら大変だもんね…。
それにしても飛鳥ちゃんは優しいな。
喫茶店のおばあちゃんに手を貸したり、迷子の男の子2人を放っておけなくて一緒にいてあげたり。
優しくて、面倒見が良くて、より好きになる。



