前期の期末テストも終わって、10月になった。来週から後期が始まる。
…だからって別に変わらないけどね、何も。
寒くなるくらい?
火曜、体育の後。
家庭総合βは、先生の都合で休講!この後すぐ帰れるとか!わーい。
「いいなー、飛鳥ちゃん。もう帰れるじゃん」
その話を聞いた知愛が、着替えながらそう言った。
「うちらの授業、代わりに出てよ」
「…無理だね」
「そうだね」
分裂できないんでね。
凜さん、どんだけ帰りたいんだ。
…まあ、帰れるからといって、特に寄りたい所も無いから、まっすぐ帰る他ないんだけど。
「じゃあ、お疲れー」
「バイバーイ」
着替え終わった私は、彼女らを置いて先に更衣室を出る。
トイレに寄ってからね…。我慢してたんだ、ちょっと。
それに、帰るだけとはいえ、メイク直しをさせていただこう。
1階まで上がり、エントランスまで行くと、見慣れた顔がいる。
「飛鳥ちゃん!」
座ってたのに、すぐ立ち上がって駆け寄ってきた。何だろう、子犬みたいで可愛いんだけど。
「どうしたの貴哉くん…」
「何でちょっと引いてんの!もー」
「体育終わってから待ってたの?」
「うん」