kiss【BL】

「まだまだ勝てそうにないや……」

 アイツがいなくなってから呟く一言。
 なんだかんだ言っても、俺はやっぱりアイツが好きなわけで…。
 こればっかりは否定できなくて。
 アイツの手が触れていた髪に自分で触って…。
 幸せを感じる自分が居て…。

 ま、こーゆーのも悪くないね。

 扉の外から、にぎやかな声が聞こえてきた。
 勢いよく扉が開いて第一声。

「あれ〜? 今日は倉本早いんだね〜。ね、桜井知らない?」
「部長なら、どっか行きましたよ」
「先生のところかな」
「なぁ〜んだ、ちょこっと聞きたいことあったのに〜」
 お先に、と軽く言葉を残して体育館に向かう。

 まずは、バスケでアイツを見返すんだ。
 一つずつ、越えていこう。