部室に入ると暗く静まり返っていた。


 ――珍しい~、まだ誰も来てないんだ。


 だからって気にするわけでもないけど。
 ロッカーに荷物を詰め込んで学ランを脱ぎ掛けたとき、ドアが開いて見慣れた長身が入ってきた。

「倉本一人か」
「……一人っス」

 その言葉には裏があるのか無いのか…。

「今日は来るのが早いんだな」
「部長こそ」

 何故かぷちぷち途切れる会話。

「うわっ」

 ワイシャツのボタンに手を掛けたとき、イキナリ部長が俺の頭をクシャクシャって撫でてきた。

「なんだよっ!?」

 思わず地がでる。

「別に…」

 スタスタと通り過ぎていくアイツに、何故か無性に腹が立ってきた。


 ――畜生っ、俺がちっちゃいからって…っ!!