二人のないしょ話

「とてもいい曲だね」

「でしょ!」

そう言う小泉さんを見て、思わず笑ってしまう。

「どうしたの?」

「いや……小泉さんって教室と全然違うんだな〜って思って」

小泉さんは顔を真っ赤にした。

「えっ!?その……神山くんといると……、その……とっ、とりあえず練習しよう」

中途半端だったので、もう一度訊いてみようかなと思ったけど、かわいそうなのでいじるのはここまでにした。

「ごめん、ごめん」

そう言いながら、親指と人差し指で眉間をつまむようにし、指を伸ばして前に出す。

「もう!」

小泉さんは右手の手のひらを前に向け、頭の横で指先をくっつけ、「バカ」と言う。

俺と小泉さんは声を出して笑った。