二人のないしょ話

「静かにしろ!!」

先生が怒鳴り、ようやく静かになる。

「小泉、手話は一人でするつもりなのか?」

「誰かと一緒にしたいです」

その言葉を聞いて、俺は立ち上がった。

「俺、手話したいです!」

小泉さんはニコリと微笑み、右手を垂直に立て、小指側で左手の甲をトンと叩いた。「ありがとう」だ。

俺は慌てて右手の小指を立てて、あごに二回あて、「構わない」と言う。

すると、小泉さんは驚いていた。

俺が習っている「あるもの」とは手話のことだ。



「神山くんって、手話できるの?」

放課後。今日から練習を始めることになった。

「高校生になってからだよ。まだ、わからない手話は多いし……」

「大丈夫だよ!私が教えるから」

「小泉さんも、手話習ってるの?」