二人のないしょ話

文化祭まであと三日になった。

放課後、俺は新聞部の部室に向かった。

取材結果を報告してくれるらしい。

部室には、俺と同級生だけだった。先輩たちは取材に行っているらしい。

「あのね……小泉さんの身には、とんでもないことが起きていたの」

真剣な表情で報告が始まった。

「小泉さんは……最近、クラスメートからいじめを受けていたんだって……。今回のことってさ、いじめが関係していると思う」

俺は動揺するしかなかった。あまりのショックに、声の出し方を忘れてしまう。

小泉さんは、辛そうな顔は一度も見せなかった。むしろ、楽しそうにしていた。「いじめられていた」なんて信じられない。

「……ありがとう」

そう言い、部室を出ようとした。

「待って!手話はどうなるの!?」

「小泉さんに、自分の思いをしっかりぶつけるよ」