かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 そしてわざとらしくふたりして喉を鳴らすと、私に聞いてきた。

「荻原さん、そちらの美人さんは?」

 そう聞かれ由良を見ると、彼女は微笑んだ。

「初めまして、吉井由良です。小毬とは中学以来の友人で、会社もこの近くなんです。……皆さんは小毬の同僚の方ですか?」

 由良のスマイルに谷君と岸本君は、我先にと口を開いた。

「そうなんです、荻原とは同期で……」

「俺、谷といいます。彼女はいません」

「俺もです! 絶賛募集中の岸本です!」

 わかりやすいアピールに、私と野沢君は顔を見合わせて苦笑いしてしまう。

「次のお客様、どうぞ」

 店員の声に野沢君はふたりの肩を掴んだ。

「ほら、吉井さん引いてるからそこらへんにしておけ」

 そう言って残念がるふたりに、先に会計をさせている間に野沢君は私たちに向かって、「悪かった」と両手を合わせた。

「じゃあ荻原、またな」

「あ、うん」

 自分の支払いを済ませると、由良ともっと話したそうなふたりを引きつれて颯爽と出ていった。

 その途端、由良が詰め寄ってきた。

「ちょっと会計済ませたら、詳しく聞かせてもらおうか」

 その言葉通り店の外に出るや否や、私の肩を掴み興奮状態で言った。