一度だけ休日に街に買い物に行った時、デート中の将生と遭遇したことがあった。
相手は同じ学校の子。びっくりしちゃって思わず彼の名前を呼んでしまった私に、将生は冷たい目を向けた。
そして一緒にいた彼女から怪訝そうに、「あの子、将生のことを名前で呼んでいたけど、いったいどんな関係なの?」と聞かれた時、将生は私を見ることなくこう言ったんだ。「ただの同級生だけど、俺はあいつのこと嫌い」と――。
それを聞いて勝ち誇った顔をして去っていく彼女の顔を、今でも鮮明に覚えている。結局その彼女とも長くは続かなかったようだけど。
だけどこの一件をきっかけに、はっきりとわかった。私は将生に嫌われているのだと。
私にとって将生は、かけがえのない存在だった。私たちの関係を聞かされても、昔の楽しかった記憶が根強く残っていて、話さなくなってもやっぱり私にとって将生は特別な存在で……。
正直、好きとか嫌いとか、そういう感情がイマイチわからない。でも将生とは婚約者という関係だと理解しても、大切な存在なのには変わりなかった。
それは将生も同じだと信じていた。思春期で昔のように一緒にいることはなくなった。私とは違い、彼には好きな人ができた。でも恋愛感情はなくても、大切な存在だと。
だけどそう思っていたのは私だけだったんだ。
はっきりと彼の口から出た『嫌い』の言葉。気づかないうちに私は将生に嫌われていたらしい。
友達でもなんでもない、私は彼にとって名ばかりの婚約者なんだ。
相手は同じ学校の子。びっくりしちゃって思わず彼の名前を呼んでしまった私に、将生は冷たい目を向けた。
そして一緒にいた彼女から怪訝そうに、「あの子、将生のことを名前で呼んでいたけど、いったいどんな関係なの?」と聞かれた時、将生は私を見ることなくこう言ったんだ。「ただの同級生だけど、俺はあいつのこと嫌い」と――。
それを聞いて勝ち誇った顔をして去っていく彼女の顔を、今でも鮮明に覚えている。結局その彼女とも長くは続かなかったようだけど。
だけどこの一件をきっかけに、はっきりとわかった。私は将生に嫌われているのだと。
私にとって将生は、かけがえのない存在だった。私たちの関係を聞かされても、昔の楽しかった記憶が根強く残っていて、話さなくなってもやっぱり私にとって将生は特別な存在で……。
正直、好きとか嫌いとか、そういう感情がイマイチわからない。でも将生とは婚約者という関係だと理解しても、大切な存在なのには変わりなかった。
それは将生も同じだと信じていた。思春期で昔のように一緒にいることはなくなった。私とは違い、彼には好きな人ができた。でも恋愛感情はなくても、大切な存在だと。
だけどそう思っていたのは私だけだったんだ。
はっきりと彼の口から出た『嫌い』の言葉。気づかないうちに私は将生に嫌われていたらしい。
友達でもなんでもない、私は彼にとって名ばかりの婚約者なんだ。



