かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 将生に対する想いも、この歳になっても誰かを好きになったことがないことも。

 今度、ふたりで落ち着いて話をする時間がある時に話そう。だって将生は私に伝えてくれたのだから。

 真摯に彼と向き合おうと心に決め、家路についた。



 玄関の鍵を開けて中に入ると、廊下の明かりが灯っていた。

「あれ? もしかして将生、帰ってる?」

 様子を窺いながら家に上がると、リビングへ続くドアが開いた。

「おかえり、早かったな」

 エプロン姿の将生が出迎えてくれて、思わず足が止まる。

「え、将生? 会社は? どうして今日、こんなに早いの?」

 びっくりして一気に聞くと、彼は目を泳がせた。

「今日はたまたま仕事が早く終わったから。……それよりもう飯できるから、早く着替えてこい」

「あ、うん」

 一方的に言うと将生は再びキッチンへ戻っていく。

 言われるがまま寝室に入って着替えながら、思わず笑ってしまった。

「誠司君の言う通りだったな」

 私が心配で早く仕事を終わらせ、夕食を作って待っていてくれたって自惚れてもいいかな?

 着替えを済ませ、リビングに入る前にニヤけている顔をキュッと引き締める。ドアを開けるとおいしそうな匂いが漂っている。