かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「ここだけの話にしてね。……実は大学時代からずっと好きだったの。もし荻原さんも彼を好きになったら、ライバルになるからよろしくね」

「そんなっ……! 絶対ないから安心して!!」

 そもそも私、恋愛音痴のくせに結婚しているから。

 つい大きな声で否定すると、田澤さんは笑った。

「アハハッ! そこまで全力で否定しなくてもいいのに。ちょっと野沢君が不憫。荻原さんは彼みたいな人は、タイプじゃないんだ?」

「いや……うん、そうなの」

 会ったばかりの田澤さんに、恋愛をしたことがないのに実は結婚しているの。なんて絶対言えるわけない。

 話を合わせると、興味深そうに聞かれた。

「じゃあどんな人がタイプなの?」

「えっ!? どんな人って……」

 これはなにか言わないといけない雰囲気だよね? しかし、好きなタイプと言われても困る。

「えっと……冷たいかと思ったら優しくて、意外と不器用な人、かな」

 咄嗟に口をついて出たのは将生の人となり。すると田澤さんは感慨深そうに頷く。

「へぇ、そうなんだ。……フフフ、なんかちょっと不思議だね。会ったばかりなのに恋バナできちゃうなんて。荻原さんとは仲良くなれそう。よかったら連絡先交換しない?」

「……うん!」

 嬉しくてすぐにスマホを取り出して連絡先を交換した。

「私のことは敬子(けいこ)って気軽に呼んで。私も小毬って呼んでもいいかな?」

「もちろん! よろしくね」