かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「面接試験で同じグループだった三人が残るとか、奇跡だよな」

「あぁ、本当に」
 な、なるほど。面接試験の時に同じグループ同士だったんだ。入社試験から友達作りは、はじまっていたんだね。

 私にはそんな余裕なんてなかったな。周りは仲間というよりライバルに見えちゃって、受かることだけに必死だった。

 野沢君って友達が多そう。私にも気軽に話しかけてくれたいい人だもの。

 話の邪魔をしないように急いで荷物をまとめて席を立つと、呼び止められた。

「荻原、待って」

「えっ?」

 振り返るとみんなに興味深そうに見つめられ、一歩後退る。そんな私を彼は紹介してくれた。

「彼女は荻原小毬さん。さっき友達になったんだ」

 と、友達? 彼の中で私はもう友達と呼べる存在になっているの?

 驚きを隠せずにいる私に、野沢君は次々と友達の名前を教えてくれた。

「右から面接の時に仲良くなった谷(たに)と岸本(きしもと)。そんでそこの女子は大学時代の腐れ縁の田澤(たざわ)」

「よろしくね、荻原さん」

「災難だったね、初っ端から野沢君に捕まって。ずーっと話しかけられていたんでしょ?」

 野沢君同様、みんな気さくに声をかけてくれて嬉しい気持ちでいっぱいになる。