「よし、じゃあ行くぞ。最寄り駅まで送っていく」
車のキーを手にして玄関を開けた将生に、慌てて言った。
「いいよ、そんな。電車で行くから」
「だめだ。今の時間電車は混み合っている。入社式前に疲れてどうする。それに痴漢も多い路線だ。お前みたいな気弱そうなやつが格好の餌食になるんだぞ? 時間が合う時は送っていくから。わかったら行くぞ」
朝の通勤ラッシュ時間だもの、電車が混み合うのは仕方ないことだ。いずれは慣れなければいけない。
それに今は女性専用車両もある。そこまで心配することないのに……。
一方的に言うと将生は私の手を取った。
「あ、ちょっと将生!?」
その後、大丈夫だと言っても私の話は聞き入れてもらえず、結局会社の最寄り駅まで送ってもらった。
「改めて見ると大きいな」
将生に送ってもらったおかげで、予定より早く会社に着くことができた。
人の波に乗って歩くこと三分。今日から私の勤め先である【株式会社ムラセ】に着いた。
約一万人の社員を抱えるムラセは、全国各地に支社と製造工場があり、常の国内シェア上位に君臨する大手メーカーだ。
車のキーを手にして玄関を開けた将生に、慌てて言った。
「いいよ、そんな。電車で行くから」
「だめだ。今の時間電車は混み合っている。入社式前に疲れてどうする。それに痴漢も多い路線だ。お前みたいな気弱そうなやつが格好の餌食になるんだぞ? 時間が合う時は送っていくから。わかったら行くぞ」
朝の通勤ラッシュ時間だもの、電車が混み合うのは仕方ないことだ。いずれは慣れなければいけない。
それに今は女性専用車両もある。そこまで心配することないのに……。
一方的に言うと将生は私の手を取った。
「あ、ちょっと将生!?」
その後、大丈夫だと言っても私の話は聞き入れてもらえず、結局会社の最寄り駅まで送ってもらった。
「改めて見ると大きいな」
将生に送ってもらったおかげで、予定より早く会社に着くことができた。
人の波に乗って歩くこと三分。今日から私の勤め先である【株式会社ムラセ】に着いた。
約一万人の社員を抱えるムラセは、全国各地に支社と製造工場があり、常の国内シェア上位に君臨する大手メーカーだ。



