かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 むしろ秘書課の先輩たちや女性社員からは、なにかと声をかけられている。

 敬子曰く、私に好意的な女性社員は皆、義妹である私に取り入って誠司君とお近づきになろうと考えているようだ。

 でも陰口を言われたり、冷めた目で見られるより断然いい。もちろん誠司君との仲を取り持つようなことはしていない。当たり障りなく聞き流している。

 仕事の面でもできること、任せられることが増えてきて、よりいっそう責任のある仕事にやり甲斐を感じていた。

「そういえば吉井はいつ帰ってくるんだ? お土産渡せなくないか?」

「来月には帰ってくるみたいだから大丈夫。帰国したら、真っ先にうちに来たいって言っていたよ」

「そうか。じゃあ日本食でも作ってやるか。恋しくなっているだろ、きっと」

「絶対喜ぶと思う」

 由良は今、二ヵ月間の海外支社への研修に出ている。スキルアップして帰ってくると意気揚々と日本を発っていった。

 今はとにかく仕事が楽しいようだ。そしてやっぱりいまだに元彼のことを忘れられないようで、もう少し片想いしていると言っていた。

「帰ったらすぐ洋太たちの結婚式があるな」

「そうだね、すごく楽しみ」

 秋田さんと沢渡さんは来週、盛大な結婚式を挙げる。私と将生も夫婦で招待されていて、もちろん出席するつもりだ。