かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 将生は心底迷惑そうなのに、誠司君は感激していて。ふたりの温度差に笑ってしまった。

 それからすぐに車を回してきた山浦さんに誠司君は回収され、帰っていった。そして私たちも。

「ったく、えらい目にあった。兄さんに抱き着かれたおかげで肩が痛い」

 リビングに入ると将生は肩をグルグル回しながら、ソファに腰かけた。

「誠司君、将生のこと大好きだから久しぶりに会えて嬉しかったんだよ。もう少し頻繁に会えばいいのに」

 キッチンに入り、コーヒーの準備をしながら言うと、将生もキッチンに入ってきて嫌そうな声で言った。

「毎回会うたびにあぁなんだぞ? 兄さんは。できるなら会いたくない。……それに兄貴は、平日は俺より小毬と一緒にいる時間が長いんだ。会うとイラッとする」

「イラッとって……仕事だよ?」

 手を止めて言うと、将生は顔をしかめた。

「わかってるよ。でも仕方ないだろ? 兄貴といえど、嫉妬はする。正直今夜だって兄貴と飲みに行くって聞いておもしろくなかった」

 不満そうに言いながら、背後から抱き着いてきた将生に呆れてしまう。でもその一方で、ヤキモチ妬く将生も嫌いじゃないから困る。

 振り返って真正面で向かい合い、将生の顔を下から覗き込んだ。

「だからわざわざ迎えにきてくれたの?」

 本当は気づいているけれど、意地悪心が芽生えて尋ねれば、将生は目を泳がせた。

「あぁ、そうだよ」