かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「すみません、お疲れのところ私まで送ってもらい」

「最初からそのつもりでしたので、お気になさらずに。少々お待ちください、今、車を回してきますので」

 玄関先で、私と誠司君がそれぞれミュールと革靴に履き替えている間に、山浦さんは外に出ていった。

「気にしなくて大丈夫。山浦さん、お酒強そうに見えるけど全然飲めないんだ」

「そうなの?」

「あぁ。一滴でも飲んだら倒れちゃうみたい」

 そうなんだ、ちょっぴり意外。誠司君の言う通り、すごくお酒に強そうなのに。

「荻原さん、お迎えが参りました」

 車を取りにいったはずの山浦さんが戻ってきて、その横にはなぜか将生の姿があった。

「え、将生? どうしたの?」

 びっくりして駆け寄ると、山浦さんが駐車場に向かったのを確認し、将生は優しく微笑んだ。

「迎えにきたんだ。……あの家にひとりでいるのは寂しくて」

 ボソッと言われた言葉に、かあっと顔が熱くなる。ジロリと睨めば、将生は嬉しそうに笑う。

「将生、久しぶり! 元気だったか!?」

「わっ! 酒くせっ」

 酔っている誠司君は将生に会えたのが嬉しかったようで、ギュッと抱き着いた。

 たまらず引き離しにかかる将生だけれど、誠司君の力は思いの外強いようで、なかなか離れてくれない。

「相変わらず可愛いな、将生は。今度は小毬と三人で飲みにいこう」

「兄さん、酔いすぎ。わかったから離れてくれ」