かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「本当、将生って昔からなんでもソツなくこなしちゃうくせに、小毬ちゃんのことになると不器用になっちゃうんだよね。……高校の時もさ、中学同様婚約していることを秘密にするつもりだったのに、小毬ちゃんが可愛いって周りが騒ぎ出したんだ。それを聞きつけて焦ってあっさりバラしちゃった時は笑っちゃったよ」

 その時のことを思い出したのか、秋田さんは「クククッ」と喉元を鳴らした。

「わざと学校の子が多く集まる場所で小毬ちゃんとデートしてさ。やることすべて間違っているよな」

 そういえば高校生になってから、急にデートに誘われるようになったよね。おかげで学校の子に見られて、一気に噂が広がった。だけどえ、なに? それは同じ学校の子にふたりでいるところを、わざと目撃させるためだったの?

 なにそれ。……本当、将生ってば不器用すぎる。そういうのは、ちゃんと言葉にしてくれないと全然わからないよ。

 でもそれを言ったら私も同じだ。沢渡さんとのことを聞かずに勘違いをして、好きとも伝えずに逃げているのだから。

 昔から私のことを想ってくれていた将生に、ちゃんと会って顔を見て言いたい。「将生のことが好き」って。