かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「本当、社長にはプライベートなことまでお世話になりまして……大変感謝しているんです」

 どこか幸せそうに話す姿に、心がざわざわと騒がしい。

 プライベートなことまでってことは、やっぱり沢渡さんは将生とそういう関係? ううん、きっとそうだよね。それ以外考えられない。

 この後に言われることを想像すると、逃げ出したくなる。

 次の瞬間、秋田さんは沢渡さんの肩に腕を回して、耳を疑うことを言った。

「本当、将生には感謝してもしきれないよな。俺たちの最大のピンチを救ってくれたんだから。だから今度は、こうして俺と浩美さんが一肌脱ごうってことになったんだ」

 えっ、俺たち? 浩美さん? それより秋田さんってば、なぜ急に沢渡さんの肩に腕を回したりしているの?

 びっくりする私を余所に、沢渡さんは涼しい顔をして秋田さんの手の甲を抓った。

「痛っ!?」

 肩から手を退かすと、秋田さんはもう片方の手で擦り痛がる。

「ちょっと浩美さん、今は仕事中じゃないのにひどくないですか!?」

「ひどくありません」

 ばっさり切る沢渡さんに、秋田さんは涙目で訴える。

 えっと、どういうこと? だって目の前のふたりのやり取りから、親密さが窺える。まるで恋人のような……。でも沢渡さんは将生と……じゃないの?