かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 思いがけない展開に茫然としてしまう。でも嬉しそうな敬子を見て、先に帰る罪悪感が薄れていく。

 よかった、野沢君が来てくれて。邪魔者はさっさと退散するべきだよね。

「えっと、じゃあここはお言葉に甘えて野沢君にごちそうになります」

「おう」

 席を譲ると、野沢君はすぐに腰を下ろした。

「小毬、頑張ってね」

「うん、ありがとう」

 敬子も頑張ってねと心の中で付け足して出口へ向かう。そして最後にメニュー表を見るふたりの仲睦ましい様子を目に映して、店を後にした。

 最寄り駅に向かって駆け足で向かい、改札口を抜けてホームへ急ぐ。

「あっ……!」

 だけどタッチの差で電車は出てしまい、がっくり肩を落とす。すぐに次の電車を見ると三分後。

 その間に将生にメッセージを送る。

【昨日はごめんね。話したいことがあるから、急いで帰ります。将生はもう家にいる?】

 本当は今夜、ふたりで食事に行くはずだった。だから将生は家にいると思うけど、心配で確認のメッセージを送る。

 あ、由良にも連絡しないと。