かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 そうだ、まだ将生とのことを話していない。どう思うかわからないけれど、でも敬子なら話しても変わらずそばにいてくれるよね。

 切り出すタイミングを窺っていると、敬子は笑いをこらえながら言った。

「とにかく安心した。じゃあ私はこれからも野沢君に全力で片想いします。……フフ、野沢君には申し訳ないけど、今がアタックするチャンスだよね! 失恋したてで落ち込んでいるだろうし」

 ギュッと手を握りしめて気合いを入れる敬子に、昨夜、由良に言われたことを思い出す。

 どうやら敬子も、由良と同じ考えの持ち主のようだ。……だったらなおさら大丈夫そう。

 ここに来た時の緊張感はなくなり、いまだに笑っている敬子に私は将生と結婚していること。それを偶然野沢君に知られちゃったから、敬子の前でふたりして様子がおかしかったこと。そして社長が義父で、誠司君が義兄ということ、なぜ話すことを躊躇したのかを打ち明けた。

 途中、何度も驚愕の声を上げながらも、敬子は最後まで話を聞いてくれた。

「えっと……ごめん、頭の中が容量オーバーなんだけど、これだけは言わせて」

 混乱した様子で頭を抱えながら言うと、敬子は私に鋭い目を向けた。

「私は小毬が結婚していて、社長と親族関係だったことを聞いても離れたりしないからね。それだけの理由で離れていった今までの友達がおかしいよ」

 まるで自分のことのように怒る彼女の姿に、目頭が熱くなる。