かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「私も、もっと早く言えばよかったね。……野沢君が小毬のことを好きかもしれないけど、私は簡単に諦めたりしないからって」

「――え」

 すると敬子は、私を安心させるように力強い声で言った。

「ずっと好きだったんだから。そう簡単に諦められる気持ちじゃないもの。さすがに結婚しちゃったら諦めるしかないけど、それまでは頑張って片想いを続けるつもり! もう少し自分に自信が持てたら告白もしたいと思っている。もちろん振られてもすぐには諦めなよ? ……だから話してくれて嬉しかった」

「敬子……」

 敬子はなんて強いんだろう。私とは大違いだ。真実を知るのが怖くて逃げたのだから。

 昨夜見たふたりの様子が脳裏をかすめ、ズキズキと胸が痛み出す。

「あっ! もしかして小毬、私が野沢君のことを好きだと知っていたから、小毬も好きなのに告白を断ったりしちゃった?」

 急に慌てて言われた言葉に、フリーズしてしまう。

 私が野沢君を好き……?

「ううん、ない! それは絶対にないから!」

 全力で否定すると、敬子はキョトンとなる。だけどすぐに表情を崩し、声を上げて笑い出した。

「アハハッ……! 入社式の時も全力で否定していたよね。そんなに野沢君ってタイプじゃないの?」

「いや、その……」