かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 昨日のことがあるから、お互いぎこちないながらも、注文をとりにきた店員にビールと料理を何品か頼んだ。

「少々お待ちください」

 店員が去っていくと、気まずい空気が流れる。

 いや、だんまりじゃだめでしょ。せっかく敬子が会ってくれたんだから。

 だけど話しかけようとした時、店員が注文した料理とビールを運んできて、タイミングを失う。

「ごゆっくりどうぞ」

 店員が去っていくと同時に、敬子はいきなり頭を下げた。

「え……敬子?」

 彼女は頭を下げたまま口を開いた。

「昨日はごめんね小毬。……私、自分のことしか考えていなかった」

「そんなっ……! そんなことない、悪いのは私だから」

 だけど顔を上げた敬子は首を左右に振った。

「小毬の話を聞かず、勝手に決めつけてキレて……。完全なる八つ当たり。本当、ごめん」

 再度深く頭を下げた敬子に、私は無我夢中で伝える。

「本当に違うの、悪いのは私なの。ごめんね、昨日はすぐに言うことができなくて。……でも今から話すことは、話すべきじゃないのかもしれない。もしかしたら敬子を傷つけちゃうかもしれない。それでも私は敬子にすべて話したいの。……いいかな? 話しても」

 敬子とは、なんでも話せる関係になりたいから。