かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「俺とのことで、小毬が女子からいろいろ言われているのを知ってた。……だから彼女たちを付き合ってきたんだ」

「ちょっと待って。どういうこと?」

 意味がわからない。私のために彼女たちと付き合ってきたってなに?

 混乱する私に将生は説明していく。

「小毬をイジメない代わりに付き合えって言われたんだ。……だから付き合った。あの日、嫌いだと言ったのも小毬を守るためだった。あそこで大切な婚約者だって言ったら、小毬になにかしそうだったから」

「……嘘」

 じゃあこれまで将生が多くの女性と付き合ってきた理由は、すべて私のためだったってこと?
 すぐには信じることができない真実に、頭の中が混乱する。

「でも将生、私に冷たかったじゃない。ふたりっきりの時もずっと」

 もし将生の言っていることが真実だとしても矛盾する。ふたりで過ごしている時も、いつも冷たかった。それはやっぱり私のことが嫌いだったからじゃないの?

 その思いで尋ねると、なぜか将生は照れくさそうに目を逸らした。

「それはっ……そうしないと、タカが外れそうだったから」

 ボソッと言うと、彼は口元を手で覆った。

「小毬とふたりっきりになって、自分を抑える自信なんてなかった。……今もそう。小毬に触れたくてたまらない」

 艶っぽい声で囁かれ、将生の大きな手が頬に触れると、嫌でも胸が高鳴ってしまう。