かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 お出しするお茶菓子や飲みものの買い出しも、秘書の仕事なんだよね。……本当に山浦さんはすごすぎる。これを全部ひとりでやっているのだから。

 始業前の準備を終え、今日やる仕事の指示を仰ぎ、最後に翻訳し終えた書類を提出した。

 それを確認する山浦さんの様子を、緊張しながら眺めていると、彼は丁寧に封筒に戻した。

「お疲れ様でした。この量を一週間で翻訳するのは大変でしたでしょう」

「いいえ、そんな……」

 両手を左右に振ると、山浦さんは私の目元を指差した。

「少し隈ができております。……遅くまでやられていたんですね」

 うっ……! 山浦さんには嘘はつけないようだ。

「……はい」

 素直に認めると、山浦さんは小さく息を吐いた。

「仕事熱心なことは大変良いことですが、寝不足は厳禁です。秘書は想像以上にハードな仕事なので、体力勝負なところもございます。今後、どんなに忙しくても睡眠だけはしっかりとるようにしてください」

 そうだよね、寝不足が原因でミスをしたら大変なことになる。

「すみませんでした。今後は気をつけます」

 頭を下げると、山浦さんは優しい声色で言った。