かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 多忙な山浦さんとは違い、私が任せてもらっている仕事は今、これだけだもの。

 誰もいないオフィスで留守をしながら、翻訳作業に取りかかった。



 それから三日後の夕方。仕事を終え買い物をしてからの帰宅途中、将生からメッセージが届いた。

【悪い、小毬。今夜も遅くなるから夕食はいらない。先に寝てていいから】

 それを見てがっかりしてしまう。

「食材、いっぱい買っちゃった」

 だけど将生、大丈夫だろうか。ずっと毎日遅くて夕食も食べていない。会社でなにか食べているならいいけど。

 彼の身体が心配になりながら帰宅し、料理に取りかかる。

 夕食はいらないって言われたけれど、帰ってきたらお腹が空くかもしれないし、軽く食べられるものを作っておこう。

 それから簡単に自分の夕食も準備して、テレビを見ながら食べるものの、おいしくできたはずなのに味気ない。

 真正面の席にはいつも将生がいて、毎日私が作った料理を褒めてくれたよね。他愛ない話をしながら食べるご飯はおいしくて、楽しいひと時となっている。

 まだ結婚して二ヵ月くらいしか経っていないのに、将生とふたりで暮らす日々が日常になっているようだ。