かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

【大丈夫だよ。むしろ野沢君とふたりっきりにしてくれてありがとう。また相談に乗ってくれたら嬉しい】

 よかった、敬子に変に思われなくて。だけどこれからも気をつけないと。

【今度ゆっくりランチに行こう】と返信してオフィスへと向かった。

「おはようございます、荻原さん。今日はいつもより十分ほど早いですね」

「あ、はい。ちょっと……」

 秘書室に入るとすでに山浦さんは出勤していて、副社長宛てに届いた郵便物の確認をしていた。

 さすが山浦さん。私がいつも何時に来ているかしっかり把握されているようだ。

 試用期間中は朝早く来ることも、残業することもだめだと言われ、山浦さんがいつも早く出勤して、いろいろやっていることを知りつつも規定の時間に出勤していた。

 だけどこうして会社に来て、すでに山浦さんが仕事をしている姿を見ると、なにもできない自分にもどかしさを感じていた。

 しかし私はまだ試用期間中。今は教えてもらった仕事を覚えることだけに集中するべきだよね。

「ちょうどよかったです。そろそろ荻原さんに、副社長が出勤するまでにやるべき仕事を、お教えしようと思っていたので」

「え……! ぜひお願いします!」