かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 不自然だったかな? でも、あのまま三人で会社に向かうなんて無理だった。

 会社に着き、乱れた呼吸を整えながらエレベーターホールへと向かう。

 敬子の気持ちを知っているから、気遣っただけと思ってくれたらいいんだけれど……。

 今まで野沢君と話をしたり、一緒に行動したりしていても特に気に留めてこなかったけど、これからは気をつけよう。

 敬子は口にしないけど、本当は快く思っていないかもしれないもの。

 だけど野沢君には、今まで通りにって言われた手前、どう気をつけたらいいんだろう。いや、それ以前に変に意識しないほうがいいのかな。

 私は野沢君を異性として見ていないわけだし、それを敬子も知っている。あれ、じゃあさっきの私の言動は敬子から見たら、とても不自然だった……?

 なにやっているんだろう、私。完全に空回りしているじゃない。

 がっくり肩を落としてしまう。

 よく考えればわかることなのに、恋愛経験値の低さのせいだろうか。瞬時に頭が働かなかった。

 エレベーターを待つ長い列の最後尾に並び、スマホを取り出した。

 敬子に【先に来ちゃってごめんね】とメッセージを送った。エレベーターに乗って上の階を目指していると、さっそく返信が届いた。