かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 そう、だよな。小毬に対する気持ちは昔から変わっていない。でも小毬からしたら、結婚前と結婚後の俺の態度は百八十度違っているはず。

「でも昔からそうだったよね。どんなに冷たくされても、嫌いにさせてくれなかった。……だから将生にプロポーズされても、断ろうなんて思えなかったんだと思う」

 ドキッとするようなことを言われ小毬を見ると、彼女も顔を上げて俺を見つめた。

 目が合うと大きく瞳を揺らし、ほんのりと頬が紅潮する。こんな表情を見せられたら、嫌でも期待してしまう。

 小毬も俺と同じ気持ちになってくれたのではないかと。

 高揚感が増す中、小毬は真っ直ぐ俺を見つめたまま口を開いた。

「将生、私……」

 彼女がなにかを言いかけた時、まるで見計らったかのように鳴った電話の着信音。

 どうしてこのタイミングでかかってくるのだろうか。そもそもなぜ電源を切っておかなかった?

「電話、仕事関係じゃないの? 早く出たほうがいいよ」

 小毬の話が気になるし、本当は無視するつもりだったが、こう言われては出ないわけにはいかなくなる。

「……悪い、出てくる」

 重い腰を上げて室内に戻り、いまだに鳴り止まないスマホを見ると、電話の相手は洋太だった。