かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 なっ……! 本当にどうしちゃったの、将生! なにか変な物でも食べたんじゃないの? そう思うほど別人すぎて頭がついていけない。

 聞いているこっちが恥ずかしくなることを言うと、将生はもう一度「ただいま」と言い、そっと触れるだけのキスを落とした。

 突然のくちづけに目を閉じることができず。彼の端正な顔が近づき、離れていくさまがしっかり目に焼き付いて、じわじわと身体が熱くなる。

 まともに顔を見られなくなり目を伏せると、再び抱きしめられた。

「ごめんな、新婚旅行に行けなくて。その代わりGWはふたりでゆっくり出かけよう。……もちろん新婚旅行も小毬の仕事が落ち着いたら、まとめて休みをとって行こう」

「な、に言って……本気?」

 声が震えてしまう。だってこんなの、将生じゃない。これじゃまるで私のことが好き、みたいじゃない。

 ううん、そんなことあり得ない。……あり得ないけれど、じゃあどうして誰もいない今、こんな甘い言葉を囁くの?

 将生の真意を知りたくて顔を上げると視線が重なり合う。すると彼はふわりと笑った。

「本気に決まってるだろ? ……やっと小毬と結婚できたんだ。これから思う存分ふたりの時間を過ごすから」

 そう言うとやっと離してくれたとホッとしたのも束の間、今度は額にリップ音を立ててキスが落とされた。

 咄嗟に額を抑えると、彼はまた柔らかい笑みを向ける。