かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「まだなにか考えてくれているの? それとも、私が気づいていないだけでサプライズしてくれちゃった?」

「いや、もうなにも……」

 そこまで言いかけて思い出す。鎌倉散策の際、小毬に内緒で買ったネックレスのことを。タイミングを見て渡そうと今も浴衣に忍ばせている。

 これも一応サプライズの部類に入るのだろうか?

「ごめんね、私は将生になにも用意していないのに」

 ボソッと呟くと、小毬はゆっくりと俺から離れた。

「もらってばかりでごめん。……私もこの旅行中に将生へなにかサプライズを用意すればよかった」

 泣きそうな顔で言うものだから、たまらずもう一度彼女の身体を抱き寄せた。

「そんなこと気にするなよ、俺は小毬がこうしてそばにいてくれて、喜んでくれたら十分なんだ。他にはなにもいらないよ」

 この気持ちは昔から変わらない。ただ、そばにいてくれるだけでいいんだ。

 彼女の背中や髪を優しく撫でながら、感じるぬくもりに酔いしれる。

「ずるいよ、将生」

「えっ?」

「昔はあんなに冷たかったくせに、結婚した途端に人が変わったみたいに優しくなって……本当に戸惑う」

「小毬……」