かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「――えっ、どういうことですか?」

「どういうことって……あら、もしかして奥様はご存じなかったのですか? それは申し訳ありませんでした。……ですがこんな素敵なサプライズ、内緒にするなんて、とんでもないですよ」

 タジタジになる俺を余所に、女将は小毬を見つめた。

「花火は奥様のために打ち上げられたものなんですよ? 花火だけではございません。本日のご夕食も奥様の好きなものを承り、ご用意させていただきました」

「嘘……」

 女将の話を聞き、信じられないと言いたそうな目を向けられた。

「明日のご朝食のメニューも同様に、奥様の好きなものを窺いご用意させていただきますので、お楽しみにしていてくださいね。ではなにかございましたらご連絡ください、失礼いたします」

 ネタバレするだけして、去っていく女将に茫然となる。すると小毬は複雑な顔で俺に詰め寄ってきた。

「どうして言ってくれなかったの?」

「それは……ただ、小毬の喜ぶ顔を見たかったから」

 質問に答えたのに、彼女は渋い顔になる。