かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 着替えを済ませて車に戻ると、嬉しそうに言われて俺まで嬉しくなる。

「でも足は疲れちゃったね」

「じゃあ今夜はゆっくり温泉に浸かって、身体を休めよう。……予約した宿、温泉もあるんだ」

 そこは家族で訪れた際に宿泊したところ。緑に囲まれた場所にある宿は、一日三組しか受け入れない。

 客室は独立した和風のコテージで、完全なプライベート空間となっている。

「お待ちしておりました、村瀬様」

 チェックイン手続きを済ませ、出迎えてくれた宿の女将の案内でフロント棟を出て、緑の道を歩いていく。

 外観は完全なる一軒家のドアを開けて中に入ると、広々とした和室が広がっていた。

「奥のお部屋が寝室となっております。ベランダには露天風呂もありますので、お楽しみください。もちろん本館のほうにもお風呂はございますので、そちらもぜひ」

 女将の話を聞き、あわあわする小毬を見て、少しばかりショックを受ける。

 いや、触れないと約束したし破るつもりもない。でもいつかはこういうところに来たからには、小毬と露天風呂に入りたい夢はある。