かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「たまには甘えてよ」

 すると根負けしたのか、「じゃあ……」と言いながら店内を見回した。そして俺に差し出したのは、金魚の箸置きふたつ。

「せっかくふたりで旅行に来たから、記念にふたりで使える物がいいでしょ?」

「そう、だな」

 どうしたらいいだろうか、胸が苦しくてたまらない。

 この旅行で少しでも俺を好きになってもらい距離を縮めるつもりが、俺のほうがもっと小毬を好きになっている。

「買ってくる」

「うん、ありがとう」

 受け取ってレジに向かいながら、ふと目に入ったのはネックレス。

 これ、小毬に似合いそうだな。

 チラッと彼女を見ると、商品を手に取って見ている。気づかれないようにネックレスも手に取り、会計を済ませた。



「鎌倉散策、すごく楽しかったね。前に来た時は子供だったから、ほとんど忘れちゃっていて、全部が新鮮だった」

「そうだな」