かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 それから三人で俺が作ったプリンを食べ、昔話に花を咲かせた。――と言っても、ほとんど俺と吉井が言い合いしているのを、小毬が嬉しそうに見ていたようなものだが。

 吉井は散々悪態をつきながらも帰りがけ、小毬に聞かれないよう「小毬のこと、よろしくね」と言ってくれた。

 それと「気が向いたら相談に乗ってあげる」なんて上から目線なことを言い、連絡先を渡してきた。

 吉井に俺の小毬に対する気持ちをわかってもらえたと、自惚れてもいいよな?

 あとは小毬に好きになってもらうだけだ。そのために一ヵ月間、準備してきたんだ。

「え、旅行?」

「あぁ。一泊で近場のところなんだけど予約したんだ」

 夕食は簡単に済ませ、いつものようにリビングで寛いでいる時に切り出すと、小毬は目を丸くさせた。

「一泊で旅行……」

 俺が言ったことを復唱して戸惑う小毬に、焦りを覚える。

 小毬も喜んでくれると思って、サプライズ的なノリで勝手に計画を進めていたが……小毬はまだ俺を好きじゃない。

 そんな俺と一泊で旅行に行こうと誘われても困るよな。もしかして嫌だろうか。

「ほら、新婚旅行にも行けていないし、GWどこか行こうって前に話しただろ? その……部屋は一部屋しかとっていないけど、旅行中はいっさい触れないと約束するから。だから行かないか?」

 どうしても小毬と旅行に行きたくて必死になる。そんな俺の想いが伝わったのか、小毬は表情を崩した。

「そうだよね、せっかくのGWだし行こうか」

「本当か?」

 彼女の返事を聞いて嬉しくて、思わず大きな声を上げてしまい途端に恥ずかしくなる。