かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「あんなに昔は村瀬のこと嫌っていたのが嘘のよう。……今日だって必死にあんたの料理を褒めていたしさ。ちょっと妬ける」

 妬けるって……。

「アハハッ……! 吉井、どれだけ小毬のことが好きなんだよ」

 つい笑ってしまうと、吉井はあからさまに怒りを露わにするものだから、慌てて表情を引き締めた。

 だけど時すでに遅し。吉井は反撃とばかりに、ニヤニヤしながら言ってきた。

「それを言ったら村瀬もでしょ? 小毬が好きすぎて、冷たく接することで自分の理性を必死に抑えていたんだって?」

「どうしてそれをっ……!」

 思わず立ち上がる俺を見て、吉井はますます悪い顔になる。

「小毬とふたりっきりになると、自分を抑える自信がなかったって言ってたくせに、早いうちからうちの可愛い小毬に手を出してくれたようだけど? まぁ、セックスしか興味がない健全男子が、月一回で抑えていたのは偉いと褒めてあげるべきかな」

 小毬……吉井にそんなことまで話していたのか。

 力なく再び腰を下ろすと、吉井は頬杖を突いて勝ち誇った顔で俺を見る。

「どんなに冷たくしても、そういう行為をする時だけは感情が溢れちゃったんだね。……小毬、言ってたよ。普段は冷たいくせにあの時だけは優しくて甘くて、愛されていると勘違いしそうになるって」