両親をはじめ、親戚に習い事や学校の先生、関わるすべての人が兄さんを基準にして俺を見る。
俺だって同級生に比べたら、それなりにできるほうだった。だけど、どんなに努力したって兄さんにはなにひとつ勝てるものがなかったんだ。
「誰もが俺を兄さんの弟として見る。……それは友達もだった」
俺も兄さんと同じ学校に入ったから余計に。兄さんは学園内でなにかと目立つ存在だった。
「でも小毬は違った。最初から村瀬将生というひとりの人間として見てくれた。単純だと思うかもしれないが、それがすごく嬉しかったんだ」
小毬は一度だって俺と兄さんを比べることはなかった。むしろ兄さんより俺と遊ぶほうが楽しいと言い、家を訪ねてきた際は俺のそばを離れなかった。
「小毬はいつだって俺の隣で笑ってくれて、落ち込むことがあるとすぐに気づき、心配してくれた。信じられないかもしれないけど、昔の小毬はお姉さん気質があって、なにかと俺の世話を焼いていたんだ」
「へぇ、小毬が?」
「あぁ」
俺だって同級生に比べたら、それなりにできるほうだった。だけど、どんなに努力したって兄さんにはなにひとつ勝てるものがなかったんだ。
「誰もが俺を兄さんの弟として見る。……それは友達もだった」
俺も兄さんと同じ学校に入ったから余計に。兄さんは学園内でなにかと目立つ存在だった。
「でも小毬は違った。最初から村瀬将生というひとりの人間として見てくれた。単純だと思うかもしれないが、それがすごく嬉しかったんだ」
小毬は一度だって俺と兄さんを比べることはなかった。むしろ兄さんより俺と遊ぶほうが楽しいと言い、家を訪ねてきた際は俺のそばを離れなかった。
「小毬はいつだって俺の隣で笑ってくれて、落ち込むことがあるとすぐに気づき、心配してくれた。信じられないかもしれないけど、昔の小毬はお姉さん気質があって、なにかと俺の世話を焼いていたんだ」
「へぇ、小毬が?」
「あぁ」



