かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

 聞き返すと、敬子はグラスに三分の一残っていたウーロンハイを一気に飲み干した。

「そう、モヤモヤ! ……だって好きな人が自分以外の女の人と一緒にいるところを見たら、誰だって嫌な気持ちになるでしょ?」

 そういうもの、なの? 誰かを好きになったことがない私には想像できない。

「まだ野沢君が誰のものにもなっていないことが救いだけど、この先はどうなるかわからないよね。社会人になったし、ウカウカしていたらあっという間に誰かに取られちゃいそう。……だから頑張ってくる! 小毬、私に活を入れてくれない!?」

「えっ? あっ……が、頑張って!」

 両手拳をギュッと握ってエールを送ると、敬子は「ありがとう、出陣してくる!」と言い、野沢君のところに向かった。

 そして割って入り、しっかりと野沢君の隣に座ると敬子は嬉しそうに野沢君に話しかけている。

 可愛いな、敬子。

 同性ながら野沢君の隣で話す敬子の笑顔に胸がキュンとなり、それと同時に羨ましくもなる。

 嫉妬するという感情がどういうものなのかも、好きな人と話せただけで嬉しくなる喜びも知らない。