かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「きゃっ!?」

 軽々とお姫様抱っこすると、そのままバージンロードを歩いていく。

 割れんばかりの拍手が送られる中、将生は笑顔で応えている。……もしかしてさっきの言葉もこのお姫様抱っこも、仲が良いのをアピールするための、パフォーマンスなのだろうか。
 参列者の中には多くの親戚や、両親の会社の関係者がいるもの。

 そう思うと徐々に平静を取り戻していき、ドキドキしていた自分が滑稽に思えた。

 そうだよ、将生とは愛のない政略結婚。これからもこうやって仮面を被って、うまくいっていますアピールをすればいい。

 抱き抱えられたまま外に出ると、雲ひとつない青空が広がっていた。

 これからはじまる将生との結婚生活は、きっと私の気持ちひとつで大きく変わるはず。

 愛する人と結婚することは叶わなかったけれど、責めてこれからの人生は、自分らしく自由に生きていきたい。

 彼とともにたくさんの祝福を受けながら、強く願った。


 次の日――。
 普通だったら結婚式当日はホテルにふたりで宿泊して、そのまま新婚旅行へ向かうところ。しかし私たちの場合は違う。

「すみません、これはどちらの部屋に運びますか?」

「あ、こっちにお願いします」