かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「ありがとう、将生」

 感謝の思いを告げると、将生は瞬きもせずに私を見つめたあと、みるみるうちに頬を赤く染めた。

「え……将生?」

「……見るな、恥ずかしいから」

 そう言ってそっぽ向く彼は、耳まで赤くなっていた。

 えっと……これは照れているんだよね? でもどうして?

 答えが知りたくてジッと見つめていると、私の視線に気づいた将生は両手で顔を覆った。

「小毬からお礼を言われること、滅多にないから嬉しかったんだ。しかも可愛い笑顔で『ありがとう』とか、とんだオプションをつけられたんだから」

「オプションって……」

 思わず笑いそうになり、ギュッと口を結んだ。ここで笑ったりしたら、将生はもっと恥ずかしがるよね。

 そんな将生もちょっぴり見たいと思いつつも、これだけは言いたい。

「これからもたくさん将生に『ありがとう』って言うからね」

「え?」

 手を退けた将生の顔はやっぱりまだ赤くて、口元が緩む。

「だって自然なことでしょ? ありがとうって言うのは。将生だってさっき、帰ってきてすぐ言ってくれたじゃない。……結婚してから将生、変わったでしょ? いろいろ気遣ってくれていつもありがとう。将生のおかげで私、仕事頑張れているよ」

「小毬……」