かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「はい、小毬の分」

「ありがとう」

 並んでソファに座り、私はテレビを見て、将生はノートパソコンを開き、なにやら仕事をしているようだ。

 最初はこんな生活をする毎日を想像さえできなかった。きっと将生は毎日帰りが遅くて、家に帰ってこない日もあるかもしれない。そして家で顔を合わせても、口を利かない冷めた関係のまま日々を過ごしていくとばかり思っていたから。

 私たちの日常を知ったら由良、腰を抜かすんじゃないかな。

「あっ……」

 由良で思い出した。思わず声を上げると、すぐに将生が仕事する手を休め「どうした?」と聞いてきた。

「あのね、お願いがあるんだけど……」

 手にしていたカップをテーブルに置き、そう前置きすると、なぜか将生は嬉しそうに顔を緩めた。

「なに? なにか欲しいものでもあるのか?」

 どうやら将生は、私が欲しいものがあっておねだりすると勘違いしているようだ。

「ううん、違うよ」

 すぐに否定すると、あからさまにがっかりした将生。

 え、なに? 将生は私になにかねだってほしいのだろうか。そんな疑問が浮かんだものの、すぐにそんなわけないと頭の中で否定して本題を切り出した。

「今日、久しぶりに由良と会ったの。それでね、由良がGWに家に遊びに来たいって言うんだけど、いいかな? 来ても」

「由良って……吉井だよな?」

「うん」

 それを聞いて顔を引きつらせた将生だけれど、すぐにぎこちない笑顔を見せた。