かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「よかった。……実はさ、荻原に頼みがあるんだけど」

「なに?」

 首を捻ると、野沢君は言いにくそうに切り出した。

「実はさ、あのふたりがその……また吉井さんに会いたいって言うんだ。荻原からさり気なく聞いてほしいって頼まれたんだけど……吉井さんって彼氏はいるのか?」

「あー……えっと、由良、彼氏はいないけど好きな人がいて……」

 由良が私の幸せを望んでくれているように、私も由良の幸せを誰よりも願っている。もちろん由良の気持ちを尊重するけど、運命の出会いはいつあるかわからないのは、由良にも言えること。

 もしかしたら谷君や岸本君と、気が合うかもしれない。……とは思うものの、幸せだった由良も別れてどん底だった由良も知っているから、安易に言えないでいる。

 言葉を濁すと、「やっぱりそうだよな」と言いながら野沢君は頭を掻いた。

「あいつら、もう一度吉井さん会いたいみたいで。……みんなで飲み会とかできないかな? 会って脈がないとわかれば、諦めると思うから」

 野沢君に「聞いてみてくれないか?」と両手を合わせて頼まれると、非常に断りにくい。

 私が敬子やみんなと打ち解けることができたのは、野沢君のおかげだから。

「えっと……じゃあ聞いてみるよ」

「本当か!? サンキュ、荻原! あいつら一目惚れしたって言っていたからさ、力になってやりたくて……」

 こういうところ、野沢君らしいよね。きっと敬子は、野沢君のこういう優しいところに惹かれたんだろうな。