かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「いるじゃない、運命の相手候補が! あの野沢って人! イケメンで気配りができて優しそう。断然あいつより彼のほうがいいでしょ! 彼女いないか、ちゃんと聞いた?」

「ちょ、ちょっと由良?」

 暴走する彼女に慌てて言った。

「野沢君はただの同期だから」

 はっきりと断言して歩を進めると、由良もすかさず肩を並べた。

「まだ知り合って二週間くらいでしょ? これから同期以上の関係になれるかもしれないじゃない。たった数分しか接触しなかった私でもわかるわよ、彼はいい人だって。実際にそうなんでしょ?」

「まぁ……それはそうだけど」

 横断歩道の信号が赤に変わり足を止めると、由良は私の腕を掴んだ。

「やっぱりー! いいじゃん、同期とのオフィスラブ! 面倒な幼なじみとの恋愛より断然いい!」

 由良の暴走が激しさを増した。

「いい? 小毬! このタイミングで野沢君と出会えたのは、運命なのかもしれないのよ? いいなと思ったら自分の直感を信じて、ガンガンいきなさいね!」

 その後も由良の少し会っただけの野沢君推しが続き、私は曖昧な返事をするだけ。

 応援するって言ってくれたのに……。どうやら由良は私が思っている以上に、将生のことが嫌いらしい。